世の中は人手不足!それでも給料が上がらないのはなぜ?!原因と年収アップを目指す転職方法

2019年、厚生労働省が発表した4月の有効求人倍率は1.63倍。

年々有効求人倍率は上昇し続けており、人手不足の歯止めが効かなくなっています。
特に地方などの中小企業においては人手不足に起因した倒産が過去最悪を記録しました。

本来であれば、企業側が賃金や待遇を向上して一人でも多くの人材を確保しようとするのが当然に思えますが、実はこの危機的状況下でも実質賃金は横ばいのまま変わらずにいます。
一部の宅配業界や飲食業界のアルバイトなどでは賃金の上昇が見られますが、一般的な企業で働くビジネスパーソンにおいては賃金が上昇したという実感がないというのが現状です。

ではなぜ人手不足にも関わらず実質賃金は上昇しないのか、その原因と年収をアップさせるための方法について考えていきます。

 

 

 

このように消費税10%への増税が近づく現在でも毎月実質賃金が減少している状況が続いています。
これでは増税後はさらに実質賃金が厳しくなることは明らかでしょう。

では、なぜこれだけ人手不足が叫ばれている中で働き手の賃金が上がらないのでしょうか。

この有効求人倍率が上がり人手不足にも関わらず給料が上がらない(実質賃金・名目賃金ともに横ばいの状態)状況について調べてみました。

また、年収が上がる転職の方法についてもご紹介します。

 

 

「人手不足なのに給料が上がらない」今の現状について

 

国内の雇用動向については厚生労働省から発表される「有効求人倍率」を見れば知ることができます。

有効求人倍率について

有効求職者に対する有効求人数の割合のこと。
一人あたりの求職者に対して何件の求人数があるかを表している。
雇用動向・景気動向を示す代表的な指標。
倍率が1を越えれば求職者以上の求人ニーズがあり、1を下回れば求人が不足している状態を表している。

2009年の有効求人倍率ではリーマンショックの影響があり、0.42倍と求職者1人あたり0.4件(2人に1件以下の求人)しかありませんでした。
それが2018年には1.6倍、2019年においては1.63倍と年々増加しており、数字からも人手が不足していることがわかります。

 

これに対して実質賃金はどうでしょうか。

 

実質賃金について

労働者が労働によって受け取った賃金が実際の社会においてどれだけの物品購入ができるかを示す値。
購買力賃金とも言われる。
賃金そのもののことは名目賃金と呼ばれる。

2019年2月においては名目賃金が0.8%減、実質賃金は前年同月比1.1%減と減る傾向にあります。
また、長期的に見てもこの3,4年はほどんど横ばいの状態で、増える傾向に向かっているとは言えないのが現状です。
さらに2019年10月からは消費税の増税もあり、さらに実質賃金の増加は厳しくなっていくと考えられます。

 

これらの数値はいずれも厚生労働省がデータを出しています。

しかし、需要と供給を考えれば有効求人倍率が増加しているのであれば企業は賃金をあげて人材を確保する動きに出るはずです。
それにも関わらず実質賃金が上がらないのはなぜでしょうか。

その原因について考えてみました。

 

「人手不足なのに給料が上がらない」のはなぜ?

 

人手不足で忙しいのに給与が上がっていかない、人手不足というので転職したけれど年収が思ったように上がらなかった。
このような悩みを抱える人は多くいます。では、なぜ働き手の需要が高まっているのに給料が上がっていかないのでしょうか。
その原因について考えてみましょう。

 

企業の求める人材のニーズが変化した

基本的な企業の考え方として「高いスキル・経験のある人材ならば給料を上げてでも欲しい」と考えています。しかし、それ以外の人材においてはなるべく給料を抑えて雇用したいと考えるのです。

例えば、少し前までは「事務職」という特にスキルがなくてもそれなりのお給料がもらえる仕事が多くありましたが、現在はそのような単純作業や誰でもできるような仕事は外注化やシステム導入によって自動化していくことでコストを抑えようとしています。
今後はAIの発達によりさらにこの動きが加速化し、企業は高度な業務ができる人材に対して高い給料を払うような流れになっていくでしょう。

誰でも遂行できるような業務がなくなったことで、誰でもそれなりのお金がもらえる仕事というのはほとんどなくなってしまったと言って良いのです。

この流れによって現在では「低賃金・肉体労働」か「知識労働」かのどちらかの仕事での選択しかできないようになっています。
当然人手不足の業種にも偏りがあり、事務職などの誰でもできる業種においては人手が余り、介護・飲食業などの待遇があまり良くない業種と高賃金の専門人材などで人手不足となるのです。

もちろん労働者側は安い賃金で働くことは避けたいと考えます。
しかし、企業が求める高度なスキルを持つ人材はごくわずかなため、企業は「求めるスキルを持った人材を採用できない」「単純作業をする低賃金な人材も確保できない」となり人手不足を解消することが難しくなってしまうのです。

この流れの影響を著しく反映しているIT業界においても最新技術に対応できない技術者の増加が問題になりつつあり、今後はただ企業から与えられた仕事をこなすだけの人材ではなく、常に最新の技術への対応・学習能力や使いこなすためのスキルを自分から磨くことのできる人材が求められていくようになるでしょう。

こういった人材には企業はいくらでも給料を払いたいと思いますが、それ以外の人には給料を上げるつもりもなく、非正規雇用か外注・システム化で良いと考えているのです。

そのため、ごく少数の高いスキルを持った人材の年収は日々上がっていくのに対して、それ以外の大多数の年収が200万、300万止まりとなり「人手不足なのに実質賃金が伸びない」原因になっているのです。

 

雇用に流動性がない

企業が賃金を上げられない理由として考えられるのが、日本企業のもつ特殊な雇用形態です。

日本では大手企業を中心に「終身雇用」「年功序列の賃金体制」があります。
順調に規模が拡大されていく少し前の時代まではこの制度がうまく機能していましたが、現在のような変化が大きく、新しい事業を生み出していかなければ競争に勝ち抜くことが難しい時代にはマイナスな面が目立つようになってきました。

この制度により日本企業の雇用には流動性乏しく、人材を増員するほどに社員総数が増えていき、年齢が上がっていくごとに給料も高くなっていきます。
これにより実質的に仕事がなくなったとしても既存の社員への高い給料を払い続けなくてはならないため、賃金を上げていくことが困難になるのです。

日本企業には社内に仕事がない「社内失業者」が多数在籍しており、2025年には500万人近くなる見通しだと言われています。

これにより新しい人材も市場に出てこないため、イノベーションが進むこともなく、失業率が下がっていても賃金を上げることができないのです。

 

今の時代は新しい事業を展開していかなければ競争に勝ち抜くことは難しくなっています。
そのため、今後雇用の流動性は必ず求められてくるはずです。
そうなれば失業率が大幅に上がってしまうことも考えられますが、人材が市場に出回ることになり今よりも適材適所での雇用が可能になれば企業も組織の肥大化を避けることができるため、給与体系を見直す流れになることも考えられます。

 

企業がお金を払いたくない心理

企業はお金が儲かったらその分を給料に反映させようとは考えません。

特にバブル崩壊以前であれば「人材こそが最大の資源」という考え方があり企業も社員の賃上げに積極的でした。
しかし、バブル崩壊後は2000年代のITバブル崩壊、2008年リーマンショック、2011年東日本大震災による経済への影響と、この20年間でさまざまな不況を経験し、雇用の確保が最優先され賃上げは重要視されなくなってしまいました。
また景気が良くなったと感じても今後なにが起きても大丈夫なようにと賃上げではなく、内部留保として施設投資や株などでお金は貯めておこうという考え方になっていったのです。

 

財務省が3日発表した2017年度の法人企業統計によると、いわゆる「内部留保」にあたる利益剰余金は446兆円(金融・保険業を除く全産業)となった。前年度から1割増え、6年連続で過去最高を更新。第2次安倍政権が発足する前の11年度から164兆円増えた。

引用446兆円 内部留保 6年連続最高(日本経済新聞2018/9/8付)

 

何度も不況を受けて来た企業は「収益が上がり事業発展に向け人材を採用したいものの、高い給料は払いたくない」「いつくるかわからない不況に備えてお金を貯めておこう」という考えになっているのです。

 

 

「人手不足なのに給料が上がらない」原因は有効求人倍率・実質賃金の数値だけではわからない

 

「有効求人倍率」や「実質賃金の推移」という数値データだけではわからないことも多くあります。

実はこれらの数値は様々な属性の人が含まれているため、単純に「有効求人倍率が上がっている=人手不足」「実質賃金が下がっている=給料が上がらない」とはならないのです。

例えば「有効求人倍率」はハローワーク(公共職業安定所)の数字のみで計測されています。

ハローワークを利用するにはまずハローワークに出向いて登録を行い、施設内にあるパソコンで求人を探し、紹介状を発行してもらうなど、施設に足を運ばなければ転職活動を行うことができず、インターネットなどで簡単に求人を探すことができる現在においては非常に利用しにくいサービスとなっています。

そのため、ハローワークを利用せず、転職エージェントや転職サイトのみを利用して転職をする人は日々増えています。
中には求職給付目当てで登録し、給付期限を迎えた段階で既に決まっていた企業へ就職するという人も多くあるため、求職者数が実際の数字であるか判断が難しいところです。

ハローワーク側もインターネットで求人の閲覧が可能になるなど、求職者が利用しやすくなるように改善を行なっていますが、利便性だけでなく求人の質の低さも転職者が積極的に利用しない要因になっています。

 

求人の質が下がる要因として、企業にとってもハローワークに求人を掲載する魅力が感じられないからです。そのため人気企業は求人を出さないという場合が多くあります。
ハローワークではまだまだ電話やFAXなどでのやり取りが多く、対応に時間が取られることになるため求人を出さないのです。
無料で掲載することができるため、中には「とりあえず出している」という企業もありますが、その場合には「すぐに人材が欲しいわけではない」カラ求人の場合が多く、就職に繋がりにくいことが多いのです。

このようにハローワークの求人数からでは「人手不足で人材が必要」なのか「とりあえず無料だから掲載」なのかはわかりません。

そのためハローワーク上での数字だけでは「本当に人手不足の企業数」と「本当に働きたい人」の実態をつかむことが難しく、数字自体が人手不足を表す指標として実態とずれている可能性が十分に考えられます。

 

また実質賃金についても同様で、正社員の賃金だけで計算されている訳ではありません。
派遣社員・パート・アルバイトなどの非正規雇用社員の給与も一緒に計算されているのです。

現在はパートやアルバイトの給与は増加傾向にありますが、正規雇用を合わせた就業者全体の給与上昇は未だに弱い傾向にあります。
働き方改革によって今まで働いていなかった女性が多く働き始めたこと、「残業削減・残業禁止」の企業が増えたことも全体の給与上昇を抑える要因となっています。

新規で働き始めれば当然低い賃金から働くことになりますし、残業ができなくなれば残業代によって一定の賃金を得ていた人の給料は減ることになります。

そのため、労働者全員の賃金を平均化したとしても実際の給料の状況を把握することはできないのです。

 

更に物価の上昇も実質賃金が上がらない原因です。
物価が上がれば同じ賃金で買えるものの量は減ってしまうため、実質賃金は上がらないことになります。

そのため、実は名目賃金が上昇していたとしても、実質賃金に反映されないことが多くあるのです。

 

 実質賃金について考えるポイント
  • 正社員だけでなくパート・アルバイトの給与も含まれる
  • 新しく働き始める人は低賃金からスタートする
  • 残業削減・禁止により残業代が減った
  • 物価が上昇している影響

 

このように有効求人倍率も実質賃金も、様々なデータが混ざっているため数値だけをみて単純に上がった・下がったと見ることはできないということです。

正確な数字を知るためには正社員・非正規社員別や年収・年齢別、そしてハローワーク以外の媒体も含めて求人倍率や実質賃金を計算しないとわからないと言えます。

 

 

「人手不足なのに給料が上がらない」それでも給料をアップさせるには

 

「人手不足なのに給料が上がらない」この状況では今の会社で働き続けていても余程業績の伸びている会社や優しい会社でなければ給料アップが期待できないことは間違いありません。

しかし、安易に転職をするだけでは企業の求める人材以外は安い給料の仕事に就くことしかできないのです。

ではこの状況でも給料をアップさせる方法はあるのでしょうか。

自分のスキルを磨く

とにかく給料アップを目指すのであれば、まずはスキルアップをしていかなければなりません。
多くのビジネスパーソンは最低限の仕事だけをして日々過ごしています。

しかし、それだけでは今後新規事業での活躍や新しい技術への対応などが難しくなっていくでしょう。そうなっては社内失業者として上がらない給料と葛藤していかなくてはなりません。

そんな中で業務時間以外に自分の専門分野を伸ばすための勉強をしたり、スクールやセミナーに通ってより高度なスキルを身につければ会社にとって優秀な人材として評価されるようになり、活躍の場を広げることができるため給料アップを見込めます。

業務に関わる専門の資格や英語、ブログラミング、MBAといったビジネススキルは自主的に学び、自分のスキルを磨いていくことが必要です。

 

成長産業へ転職をする

スキルアップをしても今の会社では給料アップが期待できないのであれば「成長業界」への転職を考えてみるのも良いでしょう。

この先10年もつかわからないような衰退業界では個人がどれだけ頑張ったとしても当然給料アップは望めません。そのため、まず「成長産業への転職」が大切になってきます。

成長業界では新しい技術が生まれます。
新しい技術が生まれる場所に身を置けば当然技術的な知識がつき、第一線のスキルを学びやすく自分の強みを育てることができます。
また他業界の優秀な人材も集まってくるため、一緒に働いているだけで刺激に溢れます。

成長業界では当然、サービスやモノがどんどん売れていきますし、こちらから営業をかけなくても問い合わせがくるため、強引に売り込む必要もなく、マスコミから注目されることもあるため営業活動の苦労も少なくて済みます。

その分、新しい技術やサービスの企画や仕事に打ち込むことができるようになるため自然と自分自身の成長にも繋がっていくのです。

人が増え、自らがリーダー・マネージャーとしてスキルアップできれば大幅な給料アップができるのです。

 

「人手不足でも給料が上がらない」まとめ

 

  • 企業の人材ニーズが変化した
  • 雇用に流動性がなく組織が肥大化し企業がお金を払いたくない
  • スキルアップをして成長産業へ転職する

 

企業が求める人材は「ハイスペック人材」と「低賃金単純労働者」です。
その中でも高いスキルや技術を持つ人材にはいくらでも給料を支払う準備がありますが、それ以外の人材については給料を絞る傾向にあり、給料がアップする人はどんどん少なくなっています。

長年くり返された不況を経験したことで、利益が出ても従業員の給料に反映することが難しくなってきているだけでなく、雇用の流れも活発でないために組織が肥大化し適材適所での人材配置ができず、企業から積極的に給料をあげようと考えることができないのです。

それでも給料をアップさせたいならまず自分のスキルを磨き、その上で成長産業へ転職を考えてもいいかもしれません。
企業の望むスキルを持っていれば転職先での大幅な給料アップも望めるかもしれません。
数値だけをみて諦めるのではなく、今後の自分を見据えて仕事と給料について考えることが大切です。

 

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です